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嘉納治五郎は講道館柔道を創設したことで知られていますが、柔道のみならず、日本の学校教育の改革を、筑波大学の前身である高等師範学校・東京高等師範学校の校長を3期23年半にわたって務めた教育者でもあります。
アジア初のIOC委員として世界に働きかけ、圧倒的に不利な状況の中、世界を駆け回り、後に「幻の東京オリンピック」と呼ばれることになった1940年東京大会の招致に成功。嘉納治五郎と彼の弟子、世界の関係者が繰り広げたドラマがそこにありました。
「精力善用・自他共栄」。これは嘉納が残した大切なメッセージです。本講座では、グローバルな視点でスポーツを通して日本と世界のつながりを構築した嘉納治五郎の業績を振り返りながら、グローバル化が進み、様々な社会的課題を抱える現代の日本の我々の方向性を模索します。
また、初公開となる1940年の東京オリンピック誘致のプレゼン資料や、筑波大学が保管している貴重な関連資料も紹介していきます。
2020年の大会以降、私たちの社会に伝えていくべきことは何なのかを、みなさんと共に考えてみたいと思います。
Overview
Syllabus
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第1週:柔道および体育教育の父
- 講道館柔道の創設と理念
- 日本体育協会の創設
- 東京高等師範学校に体育科創設
- 留学生の受入れと体育・スポーツ
第2週:東京オリンピックへの道
- アジア人初のIOC委員
- 関東大震災と嘉納治五郎
- オリンピックの東京招致
- 嘉納の逝去と大会返上
- 1964年東京オリンピックへの継承
- 資料動画(1)~オリンピック誘致のプレゼン資料
- 資料動画(2)~「日本」写真集と幻の東京・札幌大会パンフレット
第3週:嘉納治五郎の弟子たち
- 金栗四三
- 杉村陽太郎
- 范源濂(はん・げんれん)
- アントン・ヘーシンク
- 福田敬子
- 資料動画(3) 金栗四三のマラソン足袋~筑波大学収蔵品
第4週:嘉納治五郎のレガシー
- スポーツと教育の融合
- スポーツのビジネス化
- 社会の復興に果たすスポーツの役割
- 社会・世界への貢献